PythonとFlaskの開発環境を構築しよう:venvの使い方も解説
はじめに
前回のFlask_Vol1では、Web開発における基礎知識(HTTPやHTML/CSS/JavaScript)をおさらいしました。
今回のFlask_Vol2では、いよいよPythonとFlaskを実際に開発環境へ導入し、最小限のプロジェクト構成を整えていきます。
Pythonのバージョン管理方法や「仮想環境(venv)」の使い方についても紹介しますので、これを機に基本的な操作を押さえておきましょう。今後のFlask開発をスムーズに進めるために必須のステップです。
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1. Pythonバージョン管理
📝Pythonのインストール
- Windows: 公式サイトからインストーラーを取得し、インストール
- macOS: macOSには標準でPython2系が入っている場合があるため、公式サイトやHomebrewを使ってPython3系を導入するのがおすすめ
- Linux: ディストリビューションによって異なるため、ディストリのパッケージ管理コマンド(
apt
、dnf
など)でインストール
Python3.7以降を利用することを推奨します。
ターミナルやコマンドプロンプトで以下のコマンドを入力すると、バージョンが表示されます。
python --version
python3 --version
と入力する環境もあります。目的のPythonバージョンが表示されればOKです。
📝pyenvによる複数バージョン管理
複数のPythonバージョンを使い分けたい場合は、pyenvというツールが便利です。
- macOS/Linuxユーザー
git clone
でpyenvを導入し、.bashrc
や.zshrc
に設定を追記して有効化する
- Windowsユーザー
pyenv-win
というWindows対応版が利用可能
pyenvを導入すると、Python 3.8や3.9など複数バージョンを並行してインストール・切り替えできるため、プロジェクトごとに最適な環境を使えます。
2. venv(仮想環境)の作り方
📝なぜ仮想環境が必要か
Pythonには、サードパーティのライブラリ(パッケージ)をpipコマンドで追加しますが、すべてグローバルにインストールすると、プロジェクト間でライブラリのバージョン衝突が起こる可能性があります。
venvを使うと、プロジェクトごとに独立した環境を作り、安心してライブラリを導入できます。
📝venvの基本的な使い方
例:flask_project
python -m venv venv
venv
という名前のフォルダが作成され、その中に仮想環境が格納されます。
python3 -m venv venv
のように、環境によっては python
を python3
に読み替えてください。
- Windows11では、該当フォルダ内で右クリックメニューの「ターミナルで開く」でフォルダ移動できます。
- Windows (cmd.exe)
venv\Scripts\activate
- Windows (PowerShell)
.\venv\Scripts\Activate.ps1
- macOS/Linux
source venv/bin/activate
- 例:
(venv) C:\flask_project>
仮想環境を終了したい場合は、以下のコマンドでデアクティベートします。
deactivate
3. Flaskのインストール
仮想環境を起動(アクティベート)した状態で、以下のコマンドを入力します。
pip install flask
インストールが完了したら、バージョンを確認します。
pip show flask
以下のように表示されればOKです。
Name: Flask
Version: 2.X.X
Summary: A simple framework for building complex web applications.
...
または、
pip freeze
と入力すると、今の仮想環境に入っているライブラリの一覧を表示できます。
Flaskが含まれていれば正しくインストールされている証拠です。
4. ディレクトリ構成と管理
📝プロジェクトフォルダの例
以下のようなフォルダ構成を想定しています。
flask_project
│ app.py (メインのFlaskアプリ)
│ requirements.txt (使っているライブラリを記載)
│
└─ venv (仮想環境)
├─ ...
└─ Scripts/bin (Pythonやpipが格納されている)
ここにFlaskのコードを書き始める予定
仮想環境のディレクトリ
プロジェクトで利用するパッケージ(Flaskなど)とそのバージョンを記述しておくと便利
flask==2.2.3
...
後々、次のようなフォルダを追加で作ることが多いです。
templates
フォルダ:HTMLテンプレートを配置static
フォルダ:CSSや画像など静的ファイルを配置
まずは最小限の構成で、仮想環境上のFlaskを正しく動かすことが目標です。
5. 最小のFlaskアプリを試す
最後に、動作確認として最小限のFlaskコードを用意しましょう。
app.py
というファイルをプロジェクトのルート(flask_project
)直下に作成し、下記のコードを書き込みます。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route("/")
def hello():
return "Hello Flask!"
if __name__ == "__main__":
# debug=True で自動リロードや簡易デバッグツールが有効化される
app.run(debug=True)
📝実行手順
python app.py
と表示されれば正常に起動しています。
「Hello Flask!」と表示されれば成功です。
まとめと次回予告
📝今回のゴール
- PythonでFlaskを動かすための開発環境を整える
- Pythonのインストールやpyenvなどでバージョン管理する方法、venvで仮想環境を作成する手順を学びました。
- Flaskのインストール方法やバージョン確認手順もマスターしました。
- シリーズで使うプロジェクトフォルダを準備できる
flask_project
(名前は自由)というフォルダを作り、仮想環境を設定。app.py
に最小限のFlaskコードを用意して、ブラウザで動作を確認できました。
これで、Flaskを利用できるローカル環境が整いました。
次回以降は、いよいよFlaskコードの書き方やルーティング、テンプレートエンジンなどを使って、Webアプリケーションらしい機能を一つずつ作っていきます。
次回は、本格的にFlaskコードを書き始めますので、お楽しみに!
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