Hello Worldから始めるFlask:ルーティングの基本を理解する
はじめに
前回のFlask_Vol2では、PythonとFlaskの開発環境を整え、仮想環境を構築したうえで最小限の動作確認を行いました。
今回のFlask_Vol3では、本格的にFlaskを使った開発の第一歩として「Hello World」を表示させ、ルーティングの基本を理解します。
Flaskでは、URLパス(例:/
や /about
など)と、実際に処理を行う関数を「ルーティング」という仕組みで対応づけます。ここをしっかり押さえることで、複数のページを持つWebアプリケーションをスムーズに開発できるようになります。
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1. 最小構成のFlaskコード
まずは、最小限のコード例を示します。app.py
ファイルに以下を記述し、実行してみましょう。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route("/")
def hello():
return "Hello Flask!"
if __name__ == "__main__":
app.run(debug=True)
💡解説
from flask import Flask
: Flaskクラスをインポートapp = Flask(__name__)
: Flaskアプリのインスタンスを作成@app.route("/")
: デコレータを使って、URL/
にアクセスされたときに実行する関数を指定def hello(): return "Hello Flask!"
: 上記のURLにアクセスした場合、文字列「Hello Flask!」を返すapp.run(debug=True)
: 開発用サーバを起動し、debug=True
でコードを変更すると自動リロードしてくれる
これが、「Hello World」 を表示させる最小構成のFlaskアプリケーションです。
2. Flaskの開発用サーバを起動してみよう
ターミナル(またはコマンドプロンプト)で以下のコマンドを実行します。
python app.py
※ 仮想環境を忘れずにアクティブ化しておきましょう
(venv\Scripts\activate
または.\venv\Scripts\Activate.ps1
など)。
起動に成功すると、以下のようなメッセージが表示されます。
* Serving Flask app 'app' (lazy loading)
* Environment: production
...
* Debug mode: on
* Running on <http://127.0.0.1:5000/> (Press CTRL+C to quit)
この状態で、ブラウザで http://127.0.0.1:5000/ にアクセスすると、画面に「Hello Flask!」と表示されれば成功です。
ワンポイント:
127.0.0.1
はローカルホスト(自分のPC)を示しています。ポート番号5000
はFlaskのデフォルト設定です。
3. ルーティングとデコレータの基本
Flaskでは、関数の上に @app.route("URL")
というデコレータを書いて、処理を紐づけます。たとえば下記のように、複数のルートを設定できます。
@app.route("/")
def home():
return "This is the home page!"
@app.route("/about")
def about():
return "This is the about page."
@app.route("/")
- URLが
/
にアクセスされたときにhome()
が呼び出される
- URLが
@app.route("/about")
- URLが
/about
にアクセスされたときにabout()
が呼び出される
- URLが
また、ルートパスの中に変数を仕込むことも可能です(例:@app.route("/user/<username>")
など)。これは次回以降、パラメータ付きのURLが必要になったときに詳しく説明します。
4. 追加のルートを試してみよう
練習として、少し別のエンドポイントを作成してみましょう。app.py
に以下のように書き足してください。
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route("/")
def hello():
return "Hello Flask!"
@app.route("/greet")
def greet():
return "Hi there! This is the greet page."
if __name__ == "__main__":
app.run(debug=True)
コードを保存し、再度 python app.py
を実行してください。
(debug=True
の場合は、保存するとFlaskが自動でリロードしてくれます)
💡動作確認
- http://127.0.0.1:5000/
- 「Hello Flask!」と表示される
- http://127.0.0.1:5000/greet
- 「Hi there! This is the greet page.」と表示される
これで、複数のルーティングを設定できました。Flaskでは、各URLと関数を1対1で関連づけるだけでなく、同じ関数を複数のルートに紐付けることも可能ですし、パスパラメータを活用して動的に処理を変えることも可能です。
5. デバッグモードのメリットと注意点
上記の例で app.run(debug=True)
としているのは、デバッグモードを有効化しているためです。
- コードを変更して保存すると、自動でFlaskサーバがリロードしてくれる
- エラーが発生した場合、ブラウザにエラー画面が詳細な形で表示される
これは開発中にとても便利ですが、本番運用ではセキュリティ上の理由から無効にします(デバッグ情報が外部に漏れてしまう可能性があるため)。開発時だけ有効にしましょう。
まとめ
💡ゴール
- Flaskアプリ開発の第一歩として、ブラウザに文字列を表示できる状態を作る
app.route("/")
でトップページを設定し、関数内で返す文字列を表示する流れを実践しました。- ブラウザに「Hello Flask!」が出れば成功です。
- ルーティング(URLと関数の対応づけ)を体感する
- 追加のルートを増やし、
/greet
など別のページを用意できました。 - シンプルですが、FlaskでのURL設計の第一歩をしっかり理解できたと思います。
- 追加のルートを増やし、
これでFlaskの基本的な流れはつかめましたね!
次回は、テンプレートエンジン「Jinja2」を活用して、動的にHTMLを生成する方法を扱います。文字列の返却だけでなく、HTMLファイルを使ってWebページを表示することで、より実践的なWebアプリに近づきます。
本格的にWebアプリらしいページが作れるようになるので、ぜひ次回もお楽しみに!
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